コラム

言い知れぬ闇

2004年4月20日   皆とは言わないまでも、人はそれぞれに言い知れぬ闇を抱えて生きているんだなあと思ったのは、エコノミストの植草某の事件を聞いてである。テレビで見ると、喜怒哀楽の薄い淡泊そうなところがきっと・・・

続きを読む

怖い話

2004年3月20日   この世で一番怖いことは何だろう。ユダヤ人の少年ハロルドが強制収容所での経験を綴った『ラスト・サンライズ』を読みながら、ガス室へと続く長い行列の中にいる怖さが伝わってくるのは、昔の学校生・・・

続きを読む

元気ですか?

2004年2月20日   日本人の学生と中国人の留学生を見ていて感じるのは、明らかな元気の違いである。今にも死にかかっている魚と、それを狙っている野良猫ぐらいの差はある。外国に来ているという点を割り引いても、中・・・

続きを読む

時間を超えて

2004年1月20日   金嬉老の立てこもり事件ですっかり有名になった寸又峡温泉の旅館にいて、いのしし鍋をつつきながらテレビを付けたら、ブラウン管の中で太ぶち眼鏡の小渕さんが平成と書いた紙を掲げていた。それが平・・・

続きを読む

サンタのひげ

2003年12月20日   あわただしく1年中走っていたような年だった。師走というのはそのことを深く自覚し反省する月なのかもしれない。そんなある日、西洋史が専門の偉い先生に浅草の「どぜう屋」に連れて行っていただ・・・

続きを読む

痛みに堪えて

2003年11月20日   痛いというのは大変なことだとあらためて思い知った。“死は生の苦しみからの解放だ”などと普段うそぶいていても、いざとなると痛みにはからきしである。痛みに堪えてと誰かさんは言ったが、そう・・・

続きを読む

危ない綱渡り

2003年10月20日   人の生活にとって慣れというのはとても大切なことだと思う。傍目には死にそうな力仕事も案外慣れている本人は平気だったりする。慣れていないと、身体もだが心もしんどい。めったにしない車の運転・・・

続きを読む

磁力と重力の彼方に

2003年9月20日   磁気治療器というのを私は信用していない。自分で使ってみたことがないのと、使っている人を見ても、とても効果がありそうには見えないという理由からである。ワラにもすがる思いでいる人には申し訳・・・

続きを読む

二つの贈与税

2003年8月20日   たまには、税金の話をひとつ。 最近あらためて思ったんですが、贈与税というのは“贈与させない税”のことだったんですね。110万円の基礎控除というのがありますが、あれは小額不追求といって、・・・

続きを読む

街灯の下で

2003年7月20日   夜道を歩いていたら、前を行く若い夫婦らしい二人連れの話し声が聞こえてきた。夫婦だと思ったのは、二人ともジャージを着ていて身なりに無頓着な風だったからである。「そうだろう。だから俺が言っ・・・

続きを読む

貧乏父さんの経済学

2003年6月20日   商売に、金持ち父さんを相手にする商売と貧乏父さんを相手にする商売があるとしたら、今は貧乏父さんを相手にする商売の全盛期である。何かというと、まずテレビや新聞などのマスコミ産業がある。た・・・

続きを読む

常に自分が正しい

2003年5月20日   このところのカラスの多さは不気味である。カラスはいつの間にどこから入り込んだのか、東京の空を我が物顔で飛び回り、開き直った密入国者のようにゴミをあさり、けたたましく勝どきの声をあげる。・・・

続きを読む

恐るべき現代

2003年4月20日   飯島耕一の詩集『宮古』に触発されて沖縄の宮古島に飛んだのは四半世紀も前の夏の終わりだった。9月も半ばを過ぎてもう真夏の喧騒は遠のいていたが、肌を焦がすような日差しは少しも衰えていなかっ・・・

続きを読む

水の流れのように

2003年3月20日   昔の人の伝記は、だいたい波乱万丈で面白い。その点最近は時代が味気なく社会がつまないせいか、ほとんどの人の生き方に面白さが感じられなくなっている。ところが、この3月から日経新聞の『私の履・・・

続きを読む

幸福でない社会

2003年2月20日   子供のころに見た映画の中で一番印象に残っているのは『キクとイサム』、それから『にあんちゃん』である。調べてみると、どちらも封切られたのが昭和34年になっている。ちょうど小学2年生のとき・・・

続きを読む

平和軒のラーメンはお好きですか

2003年1月20日   男女共同参画社会を推進する女性団体の会合に参加する機会があった。もちろん男性の参加者は圧倒的に少ない。名刺を交換すると結構お偉方である。その中の一人が挨拶に立った。いかにも挨拶慣れして・・・

続きを読む

させていただいて、よろしかったでしょうか

2002年12月20日   電車に乗っていると、ときどき「ドアを閉めさせていただきます」という気持ちの悪いアナウンスが聞こえてくる。そんなもの、させていただいてどうするんだ、と言いたくなるのは、子供の頃、電車派・・・

続きを読む

貧乏な日本

2002年11月20日   高田馬場の表通りから『ユタ珈琲店』が消えた。いつものようにコーヒーを飲んで帰ろうとすると、ウェイトレスから「お客様」と声をかけられ、一瞬うろたえたが、「今月いっぱいで閉店することにな・・・

続きを読む

勉強しまっせ夜更かしの社会

2002年10月20日   勉強が出来る子には2種類ある。一つは余計なことを考えたりしたりしても勉強ができるというタイプ。これはめったにいない。もう一つは単純で余計なことを考えたりしたりしなかったから勉強が出来・・・

続きを読む

グリコのおまけ

2002年9月20日   お菓子とおもちゃをセットにしたものがちょっとしたブームになっているらしい。コンビニをのぞいていたら、チョコでくるんだ動物模型や小さなぬいぐるみとキャンデーのセットなどと並んで、おまけ付・・・

続きを読む

世界中の誰よりも

2002年8月20日   人気女優の結婚のニュースを聞いたりすると、昔は相手がうらやましいような気がしたものだが、最近はたいへんだろうなあと忖度する。おそらく人気女優の家事能力はゼロに近く、衣類は投げ散らかし、・・・

続きを読む

鮑のステーキ

2002年7月20日   銀座の伊東屋からもらってきた『銀座百点』をめくっていたら、和光のレストランの宣伝に、鮑のステーキのメニューが載っていた。なんともうまそうに見える写真だなあと眺めながら、鮑のステーキでよ・・・

続きを読む

一人分のたいへんさ

2002年6月20日   日本国債の格付けが下がって、チリよりも低く南アフリカやポーランド並みになったという。格付けというのもなにやら胡散臭く、眉に唾を付けたくなる代物だが、チリというとすぐアルゼンチンを連想す・・・

続きを読む

子のつく名前の女の子

2002年5月20日   地方の新聞には高校入試の合格者の名前が掲載されている。その中に子のつく名前の女の子が何%いたかを調べて、高校の入試水準ごとに並べてみたら、1980年代ごろから入試水準が高い学校ほど、子・・・

続きを読む

矢のごとく

2002年4月20日 このごろ、時間について考えることが多い。あっという間に1週間が過ぎる。1ヵ月が、半年が、そして気がつくと、1年が過ぎている。うーん、思い返してみると、生れ落ちてからの数十年も矢のように過ぎた気がする・・・

続きを読む

金持ちになる方法

2002年3月20日   ムネオさんブームの陰で、ひっそりとコマオさんがなくなった。作家の古山高麗雄さんである。この人には50代の印象しかなかったので、81歳だったと聞いて、あらためて時の経過に驚く思いがする。・・・

続きを読む

百年の後

2002年2月20日   百年後の世界に、今の我々のどれだけが生き残っているだろう。自分に関して言えば百年後はおろか50年後だって生き残っている可能性は乏しい。街の雑踏を忙しく行き交う人の群れに身をまかせて歩き・・・

続きを読む

パンドラの箱

2002年1月20日   年の初めのためしとて、終わりなき世のめでたさを、などと相変わらず唱歌を歌っていたら、終わりなき世どころか、日本はいよいよ駄目ではないかという議論が真剣に語られ始めた。それはそれで、なん・・・

続きを読む

みかんの皮むく頃

2001年12月20日   忘年会のシーズンだが、このところカラオケをする機会がめっきり減った。代わりに家でよく唱歌を歌っている。もちろん歌集を買ってきて歌詞を見ながらだが、不思議なくらい覚えていて、そういえば・・・

続きを読む

改めて益なきことは

2002年11月20日   クイズ「タイム・ショック」ではないが、日本の歴史で改革といえば、「享保、寛政、天保」の3つの改革である。改革とよばれる歴史上の出来事は、あらためて調べてみると意外に少なく、ほとんどこ・・・

続きを読む