コラム

忘れ得ぬ人々

2006年10月20日   もう30年以上前のことになるが、奄美大島の古仁屋港近くの民宿に一泊したときのこと。私は徳之島の亀得に何日か滞在して、船で鹿児島港に向かう旅の途中だった。月が高く、寝苦しい8月の夜だっ・・・

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今はもう秋

2006年9月20日   この間、ホームレスみたいな人が忙しそうにケータイで電話してるのを見かけた。いったいどこの誰と話してるんだろう。ケータイの向こうに、ホームレス仲間でもいて、どっかの青テントの中にでも寝っ・・・

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大事なもの

2006年8月20日   これまでの長い日本の歴史の中で、現代の日本人ほど物持ちはいないだろう。裕福な人は裕福な人なりに、そうでない人はそれなりに。皆、身の回りに大量のモノを抱え込んで生きている。それが決して幸・・・

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一人勝ちをしない

2006年7月20日   夜汽車にゆられて、福井に行った。県の職員の人たちに企業会計、公営企業会計、公益法人会計、独立行政法人会計の話をする仕事で、3日間9時から5時までのハードスケジュールである。米原まで新幹・・・

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スポーツバッカのニッポン

2006年6月20日   夜遅く帰ってテレビのチャンネルをひねると、どこもかしこもスポーツニュースばかりやっていて、いい加減にしろよといいたくなる。しかたなくNHK教育で「数学Ⅰ」の講義などを聴きながら缶ビール・・・

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教育ってなんだ

2006年5月20日   このところのJRの利益追求の姿勢にはすさまじさを感じる、と以前書いたことがあるが、とうとう痛ましい犠牲者が出た。すさまじいのは西日本だけではない。JRの駅に電話をしてみて驚いた。なんと・・・

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死ぬまでの宿題

2006年5月20日   高校の国語教師をしている友人夫妻から久しぶりに麻雀に誘われた。麻雀はこのところ隠れたブームになっているらしい。行ってみると、メンバーの一人は女流歌人だという同年配の人だった。麻雀が引け・・・

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不機嫌な料理店

2006年4月20日   生徒が集まらなくてつぶれかかっていた学校を、父親に代わって理事長になった娘が立て直したという話が、新聞に載っていた。新聞は、それまでどこかの教員をしていた娘を優れた経営手腕の持ち主であ・・・

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不思議な縁

  2006年3月20日   昭和27年10月xx日というのが私の生年月日だが、本屋で立ち読みをして、ある女流作家の書いた本の奥付を見たら、まったく同じ生年月日だったので驚いた。これが相撲取りやプロレスラーの生・・・

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もうクラウンは買わない

2006年2月20日   日本の霊柩車の8割はクラウンだといわれている。「いつかはクラウン」というキャッチフレーズは、これにもなんだかぴったり来そうだが、「いつかはクラウン」は、クラウンという車の持っている上昇・・・

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『さおだけ屋』を読む人々

2006年1月20日   久しぶりに自由が丘に行ったら、まだ駅前のふじや書店が残っていた。近ごろ、この規模の書店で生き残っているのは珍しい部類に入る。ふじや書店といえば、自由が丘の待ち合わせ場所のメッカなのであ・・・

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死の棘が刺さっていた頃

 2005年12月20日   『死の棘』の作家、島尾敏雄に会ったことがある。なにかの会合の折りに二言、三言言葉を交わしただけなのだが、なんて陰気な人だろう、死の棘が刺さっているみたいだというのがそのときの私の印・・・

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2005年11月20日   夏の盛り、8月の半ばのある日、家のベランダに落ちている一羽の鳥を見つけた。鳥はケガをしていたが、まだ命があった。さっそく獣医に見せて手当を受けた。鳥はそれまで飼った経験がなかった。鳥・・・

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永久パンの思い出

2005年10月20日   子どもの頃に読んだ読み物の中で格別忘れられないのは、『永久パン』の話である。食べても食べても、なくならないパンの話で、いつだったかなにかの雑誌で寺山修司が子どもの頃に読んだ話のベスト・・・

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道化師たちの9月

2005年9月20日   この10年で日本社会はずいぶん変質した。そのことの是非を問うたのが、今回の選挙だったと思う。いままでに何度か選挙があったが、まだそのときではなかったのだ。今回の選挙には珍妙な候補者たち・・・

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郵便ポストが赤いのも

2005年8月20日   織田信長は自殺願望の強い人だったという説がある。世に名高い桶狭間の戦いは、突然の豪雨で休んでいる今川義元の本陣に信長軍が奇襲を掛けるシーンがドラマなどではよく描かれている。しかし、最近・・・

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みんな乞食みたい

2005年7月20日   『フーテン』の漫画家永島慎二が亡くなったとなにかの記事で読んだ。それでふと、昔永島慎二の漫画を貸してくれたI君のことを思い出した。1960年代の終わり頃のことだ。僕らは受験勉強などろく・・・

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不思議な人たち

2005年6月20日   街の喫茶店が次々に店じまいして、駅前にたった一つだけ残っている古い喫茶店がえらく繁盛している。ほとんど30年前にタイムスリップしたような店で、メニューも、調度類も古く、愛想もとびきり悪・・・

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先生はえらい

2005年4月20日   花粉症で目がかゆくて、かゆくてまいっていたら、目を洗われるような本に出会った。内田樹という人の書いた『先生はえらい』というタイトルの本である。この本には、えらい先生とはどういう先生かが・・・

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赤き唇

2005年3月20日   『バカの壁』の養老先生の本を読んでいたら、人の唇というのは内臓が反転してむき出しになっているんだというようなことが書いてあった。「命短し恋せよ乙女、赤き唇あせぬ間に」などと歌うが、乙女・・・

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もうごめんだ!

   2005年2月20日   「結婚して子供を生み、そして、子供に背かれ、おいてくたばって死ぬ、そういう生活者をもしも想定できるならば、そういう生活の仕方をして生涯を終える者が、いちばん価値がある存在なんだ。・・・

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青 空

2005年1月20日   長い会議から解放されて、ふと空を見上げたとき、青空があるのは救いである。救いはあちこちに転がっているようで、意外に転がってはいない。この歳になると、そのことがよくわかる。だから、青空が・・・

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ヨシ様の熱病

2004年12月20日   今でも小学校の図書室に行くと『世界の7不思議』なんて本があったりするのだろうか。昔の図書室の本棚にはその手の本が山ほど置いてあった。エジプトのピラミッドやスフィンクス、万里の長城、イ・・・

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通信犯罪にご用心

2004年11月20日   杉並区の広報を見ていたら、区内の犯罪が減少傾向にあると出ていた。空き巣は17%、ひったくりは37%も減少したらしい。代わりに増えたのが詐欺などの知能犯で、67%も増加している。なかで・・・

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2007年問題の答え

2004年10月20日   年を取るのは素敵なことだと思いませんかと歌う中島みゆきの歌がある。中島みゆきは、私と同じ昭和27年生まれで、いわゆる団塊の世代が大きなローラーのような勢いで通り過ぎた直後の世代になる・・・

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負ける側にいたい

2004年9月20日   1937年から1945年にかけての日中戦争・太平洋戦争で、日本がどれだけの戦費を費やしたか調べてみると、1,650億円である。これはしかし、当時の物価で一般会計歳出の20年分に相当する・・・

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幸せの正体

2004年8月20日   建築家の資格制度は当然のことだがそれぞれの国によって異なっている。ところが、アメリカは中国と手を結んで国際標準化の名の下にその資格をアメリカ型に統一してしまったという。とすると、この小・・・

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幌馬車の歌 

2004年7月20日   戦前の日本で流行したという『幌馬車の歌』。どんな歌だろうか。どうしても聞いてみたくて、レコード屋を探したが、どこにも置いてなかったので、通信販売でCDを取り寄せて聞いてみた。 「夕べに・・・

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台湾旅行

2004年6月20日   いくつもの原稿の締め切りに追われてそれどころではないのだが、司馬遼太郎の『台湾紀行』を読み出したら止まらなくなった。シバリョウはどちらかというとポピュラー過ぎて敬遠してきた部類の作家な・・・

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ささいな理由

 2004年5月20日   新聞を開くと、車のトラブルに関連して起きた殺人事件のニュースが出ていた。それに限らず、世の殺人事件の多くは、取るに足りないようなことが原因で起こるささいな口論が動機になっているという・・・

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