コラム

イキモノガタリ

2009年4月20日   生きものにたくさんの種類があるのは、どんなことがあっても生き延びるための戦略だといわれている。地球がひっくりかえるような天変地異が起きたり伝染病が蔓延しても、たくさんの種類があれば、ど・・・

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見えぬものでもあるんだよ

2009年3月20日   朝のあわただしい時間、テレビの幼児番組を見るともなしに見ていて、ときおり流れてくる歌がある。「みんなちがってみんないい~♪ みんなちがってみんないい~♪」。詞もいいが、曲もいいので、つ・・・

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人間の証明

2009年2月20日   ホラー映画は苦手である。ホラー映画でなくても、手術のシーンなどは思わず眼をそむけたり、チャンネルを変えてしまうことも多い。しかし、こうした私の性向は私自身が身に付けたものというより、ど・・・

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私の隠れ家

2009年1月20日   市ヶ谷にあるその小さな書店は、ひと月に一度、日本○○協会の朝から一日中続く苦役のような会議の昼休みに、息を吹き返すために足を運ぶ私の隠れ家である。意外な場所にあるせいか、誰も知った顔に・・・

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瞼の母

2008年12月20日   「おい、地獄さ行くんだで!」。このところブームになっている小林多喜二の『蟹工船』ではそう書かれているが、日比谷を歩いていたら「蟹工船」というカニ料理の店の看板が出ていたのでびっくりし・・・

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夜汽車に揺られて

2008年11月20日   一年ぶりぐらいに突然友人から電話がかかってきた。「近くまで来ているが、行っていいか」という。来いよ、待ってるから。と言ってから、ほんとに近くまで来ていたのか、1時間以上待たせてやっと・・・

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おもしろくない会議

2008年10月20日   日本××協会の会議に出席するたびに、こんなにおもしろくない会議が世の中にあるだろうかと思う。会議というものの多くは、そもそも会議をやりましたよ、意見を聞きましたよというアリバイ作りの・・・

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どっちが現実?

2008年9月20日   事務所のスタッフを募集するために求人広告を出したら100人以上の応募があった。リクルートからは30人応募があればいい方だと聞いていたが、私は100人ぐらいは来るかもしれないと思っていた・・・

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夏休み

2008年8月20日   む~ぎわら帽子は~もう消えた~。たんぼの蛙は~もう消えた~。それ~でも~待~ってる夏休み~。吉田拓郎の『夏休み』を歌いながら、子供のころの夏休みを思い出す。 夏休みの朝の目覚めは、いつ・・・

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アキハバラが選ばれた理由

2008年7月20日   なんだか最近日本も殺人事件が多いなあと思いながら、ふと本棚を眺めたら『人が人を殺すとき』という本があったので、読みかけの『こんな日本でよかったね』をやめて、そっちを読むことにした。前に・・・

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かわいいゴキブリ

2008年6月20日   『弁護士のくず』という漫画をときどき読んでいる。この間は著作権をめぐる争いが起きてちょっとした話題になった。連載しているのは中高年男性をターゲットにしている漫画雑誌で、マーケティングの・・・

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うまくいかない運勢

2008年5月20日   古代の人々には心が二つあったという説がある。ジュリアン・ジェインズというアメリカの心理学者が生涯でただ一冊だけ書いた、『神々の沈黙』という本にそれが書かれている。 人類の意識は今からわ・・・

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楽の上にはなんにもない

2008年4月20日   誰でもいい、人を殺したくなったという事件が、相次いだ。誰が被害者になってもおかしくなかったという事実にたじろぎながら、どういうことなのかと誰もが思ったに違いない。営利目的でもなく、怨恨・・・

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鳥がだまって飛んでいった

2008年3月20日   尾崎放哉の句集が文庫本で出ていたのでつい買ってしまった。放哉の句集はもう何度か買ったと思うが、いつもどこかにやってしまって、見当たらない。どこかにある、というのが放哉には相応しい感じも・・・

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一度だけの経験

2008年2月20日   これまでに一度だけ飲んだことのあるものが、私には二つある。一つはスッポンの生き血。これは一度だけでいい。もう一つがロマネ・コンティー。至高のワインである。こっちは一度といわず何度でも飲・・・

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エコという名の免罪符

2008年1月20日   再生紙を見るたびにやれやれという思いが前々からしていた。こんなもの環境に役立つはずがない。古紙をリサイクルすることは、かえってエネルギーをたくさん浪費して環境に悪そうだってことは、誰だ・・・

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お笑い公益法人税制

2007年12月20日   政府の税制改正大綱が公表されたばかりだが、その中に「それ見たことか」といいたくなるような改正があった。これまで政府は盛んに、法人はすべて法人税がかかるんだとした上で、法人を公益性があ・・・

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日本のいちばん怖い日 

2007年11月20日   『普通の家族がいちばん怖い』という本が面白かった。日本の普通の家庭の食卓の風景を通して、見えてくる家族の実像を描いたものである。といっても、本に載っているのは76枚の食卓の写真と72・・・

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死にすぎたのね

2007年10月20日   その夜初めて同席した人と話をしていて、ひょんなことから作家の五木寛之がスゴイという話になった。若いときは『さらばモスクワ愚連隊』などを書いていたが、年を経るに従って『内灘夫人』とか『・・・

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子育て応援券って、どう思います?

2007年9月20日   日本で出生率が下がって、生まれてくる子供の数がどんどん減っているのはなぜか。私は女性の能力が衰えたからだと思っている。「元始女性は太陽であった」とその昔平塚らいちょうは言ったが、確かに・・・

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ヒトの世のならい 

2007年8月20日   現代はなにかにつけて過剰な時代である。生産も過剰。消費も過剰。人口も過剰。寿命も過剰。医療も過剰。栄養も過剰。報道も過剰。出版も過剰。情報も過剰。政策も過剰。制度も過剰。軍備も過剰。防・・・

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しょうのない右手

2007年7月20日   じゃんけんで負けて蛍に生まれたの。初恋のあとの長生き春満月。前へ進め前へ進めと帰らざる。ピーマンを切って中を明るくしてあげた。 最近ときどき行くようになった酒場で教わって手帳に書き留め・・・

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もう、イキガミを読みましたか

2007年6月20日   アカガミをもじったイキガミというタイトルの漫画がある。帯を見ると「命の大切さと生きる意味を教えてくれる(31歳主婦)、「熱いものが込み上げてきて、生きるということを考えさせられた(19・・・

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人生の悲しみ 

2007年5月20日   電車の中で、向かいに座っている女性が泣いていた。年齢は60代の後半ぐらいだろうか。ハンカチで顔を覆い隠すようにして、あんまり悲しそうにしていたので、どんなことがあったのだろう、あんなこ・・・

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エベレストに乾杯! 

2007年4月20日   山口瞳だったか、安岡章太郎だったか、あるいはぜんぜん違う別の作家だったか。誰かに「酒飲みの自己弁護」というエッセイがあったように思う。それにどんなことが書いてあったかすっかり忘れてしま・・・

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仲良しの法則

2007年3月20日   人は皆それぞれに違う。何が違うか。趣味?価値観?感性?生き方?……。いや、私が思ったのはトーンである。トーンを英和辞書で引くと、「正常な身体(精神)の調子」というのが出ている。おう、私・・・

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変な人の時代

2007年2月20日   あの人は変な人だねーという人が昔はいた。アパートの部屋の中の、そのまた押し入れの中に電気を引いて生活していた人。どうしてそんな狭苦しいところにいるのと聞くと、「へへへ、この方が落ち着く・・・

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歩くバランス・シート

2007年1月20日   人間というものは、歩くバランス・シートのような存在だとふと考えた。バランス・シート、つまり資産と負債の両面があり、会社なら会社の財産や借金の状態を表すものであるが、人は自分のことが資産・・・

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今年一番びっくりしたこと

2006年12月20日   今年も残り少なくなったが、今年一番びっくりしたのは、つい先日のことである。あるシンポジウムに行ったら、壇上の席に自分の名札がぶら下がっていて、何だろうと思っていたら、あろうことか自分・・・

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世界史は楽しい

2006年11月20日   世界史を高校で履修させていないところが全国にずいぶんあるというので問題になって、自殺した校長まで出たが、世界史がそんなに厄介物になっていたとは、ちっとも知らなかった。恥ずかしながら、・・・

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