コラム

子育て応援券って、どう思います?

2007年9月20日

 

日本で出生率が下がって、生まれてくる子供の数がどんどん減っているのはなぜか。私は女性の能力が衰えたからだと思っている。「元始女性は太陽であった」とその昔平塚らいちょうは言ったが、確かにその頃は太陽だった。歯ぎしりするほどの過酷な状況の中で、女性たちは何人もの子を産み育ててきた。しかし、今はその太陽も沈んでしまったと、はっきりいうことができる。女性は男性と同じ普通の人間になってしまった。

杉並区では子育て支援策の一環として、0歳から5歳までの小さな子供のいる家庭に子育て応援券というのを配っている。子育て応援券は子育てサービスが受けられる金券で、0歳から2歳児までは年間6万円分、3歳児から5歳児までは年間3万円分が配布され、この応援券を使って、いろいろな事業者の提供する子育て支援サービスを利用する仕組みである。ところがこの子育て応援券、子供のためというよりも、どうやら若い母親たちの育児放棄のために使われてしまっているのが実態のようである。これまで主に経済的理由からベビーシッターや有料託児所の利用を控えてきた母親たちが、この制度をきっかけに、それこそセキを切ったように子育て応援券を使って子供の面倒を見るのを放棄しはじめたのだ。おかげで杉並区役所近くの居酒屋は若い母親たちの飲み会で大にぎわい。子供を託児所にあずけて、2次会、3次会、なかには4次会と明け方近くまで延々と飲み会を続けているグループなどもあるそうだ。子育て応援券の横流しもすでに横行しているという。そのせいで、環境が劣悪なためにこれまでは閑古鳥が鳴いていたような託児所までが予約で一杯になった。その他、「ママのためのオペラ・声楽教室」や「手作りファッション教室」などもなぜか子育て応援券のメニューに入っていて、杉並区はすっかり子育て応援券需要に湧いている。

子育て応援券でママは幸せ、事業者も幸せ、行政も幸せ、めでたしめでたしというところかもしれないが、はたしてそれでいいのであろうか。