コラム

今年一番びっくりしたこと

2006年12月20日

 

今年も残り少なくなったが、今年一番びっくりしたのは、つい先日のことである。あるシンポジウムに行ったら、壇上の席に自分の名札がぶら下がっていて、何だろうと思っていたら、あろうことか自分がパネリストの一人になっていた。まさに、寝耳に水、青天の霹靂とはこのこと。事前の案内では、パネルディスカッションのパネリストは、そうそうたるメンバーをそろえることになっていたはず。その人たちに断られて、窮余の一策ということになったのだろうか。結局、心の準備もできないまま壇上にのぼるはめになって1時間半。おそらく、客席の方から見たら、亀のように首をすくめて座っているむくつけきヒゲオヤジが見えたことだろう。普段こることはめったにないのに、いやあ肩がこること、肩がこること。むかし、筑豊に住んでいた作家の森崎和江さんに「生きていればいろんなことがありますよ。」と言われたのを思いだしながら、とにかくびっくりした日だった。

話は変わって、地方の商店街のこと。今年は東北を始めいろんな地方の商店街を見てきたが、いわゆるシャッター通りがどんどん増えて今にも死にかけている。これを生き返らせるにはどうしたらいいか。私には胸にあたためてきた秘策があって、いつか誰かが聞いてくれたら5千万円くらいで教えてもいいと思っていたが、誰も聞いてくれないので、とうとう黙っていられなくなった。

私が考えている商店街の活性化策は、商店街のタイムスリップ化である。つまり、商店街を古い時代の街並みに変える。たとえば江戸時代だと、その商店街全体を江戸時代商店街にして、商店の人たちはみな江戸時代の風俗で商いをする。番頭さんとか、手代さん、丁稚さんなどもいていいし、ちょんまげ姿の侍が歩いていてもいい。商品はもちろん今の時代の家電製品などでもいいが、ネーミングなどは、江戸時代風にちょっとこってみるといいかもしれない。大判小判を地域通貨として使ってみるのはどうだろう。楽しくて、タイムスリップした気分が味わえて、大人も子供も行ってみたくなること請け合いである。面白そうなところに人は集まる。郊外のショッピングセンターに流れていた客もきっと戻ってくる。面白さの演出は、大店舗の資金力よりも、それぞれの商店街の熱意と工夫がものをいうだろう。もちろん、大正時代商店街とか明治時代商店街、平安時代商店街などでもいい。もし、これを読んでやってみようという商店街があったら、もうそれだけで私はうれしい。