コラム

不評を買う

1997年11月20日

 

米国には公認会計士が20万人もいる。日本は1万人ちょっとだから、人口を割り引いても大変な数だ。試験もそんなに難しくないというので、最近は日本でも米国公認会計士の試験を受けようという人が多いらしい。毎日のようにそういう人向けの各種学校が広告を出している。あの広告の出し方からすると、経営者は笑いが止まらないだろう。試験に合格しても、米国公認会計士というだけでは今の日本ではもちろん、20万人もいる米国でもあまり役に立つはずはないのだが。

弁護士もそうだが、米国で会計士の数がやたらと多いのは、米国が訴訟社会、対立社会だからであるといわれる。日本もしかし、いままでのいわば信頼社会、依存社会を捨てて米国型の訴訟社会へ移行しようとしている。いったい誰の差し金だろうと思わないでもないが、結局はわが国民同志が牽制しあい、すくみあって、身動きのとれないまま結果として望んでもいない方向へ流れていくということだろう。

ところで、自分では純民族系の会計士のつもりでいたが、このところそうもいかなくなってきた。短大の講師の話が具体化して、とうとう今年から「国際財務諸表論」の講義を担当することになったからだ。早い話が、英文会計である。 授業の準備をかねて、事務所のスタッフにも講義をきいてもらおうと提案しているが、誰にも歓迎されずこれだけは今からすでに不評である。