コラム

誰よりも世俗的な日本人

2016年7月20日

 

価値観とは、人が何に価値を認めるかということだが、世界の人々を対象に行われる「世界価値観調査」というのがある。2005年に行われたアンケート調査の結果を見ると今更ながら驚く。

調査では、世界80カ国以上の人々に対して、次のような質問が投げかけられた。

もう二度と戦争はあってほしくないというのが我々すべての願いだが、もし仮にそういう事態になったら、あなたは進んで国のために戦いますか、という質問に、アメリカの63%、フランスの51%が「はい」と答えたのに対して、日本は15%と世界最低である。

あなたは日本人(ここにそれぞれの国名が入る)であることに誇りを感じますかという質問には、アメリカ89%、韓国88%、に対して日本は57%と、これまた最低である。

それで、権威や権力はより尊重されるべきだと思いますか、という質問に「はい」と答えたのは、イギリス76%、アメリカ59%に対して、日本は3%と群を抜いて低い。

これらの調査によって浮き彫りにされている日本人の価値観は、普段私たちが抱いているイメージとは大きく異なるものだ。伝統的価値と世俗的合理的価値のどちらを重んじているかという点では、日本人が世俗的合理的価値を重んじる比重は突出していて、世界で最も高いのである。

伝統的価値観は、地縁とか血縁とか宗教とかそういうものを大事に思う価値観だが、アフリカや南アジア、ラテンアメリカの人々がそういうところにいる。アメリカも実は、伝統的価値観の強いところに属している。イギリスやフランスなどのヨーロッパの国々は、伝統と世俗の中間ぐらいのところである。となりの韓国や旧共産圏の中国、ロシアなどはヨーロッパよりも世俗的価値観が強いところに位置している。日本はそれよりも世俗指数が高く、日本よりも高い国は世界にはないことを調査は示している。

世俗的価値観とは、損得勘定のことで、得になることならやるが、損になることはしないという価値観である。そして家族や世間のことはあまり気にせず、権威を嫌い、自分一人で生きていく。それが日本人だといわれると、なんだかやるせない気持ちになる。