コラム

他山の石

1997年8月20日

 

東海興業、多田建設、大都工業とゼネコンの倒産が相次いで、次はどこだろうと囁かれているところへ、ヤオハン倒産のニュースが飛び込んだ。ヤオハンの有価証券報告書はまだ見ていないが、ゼネコン3社の有価証券報告書を見てみると、東海興業は確かに少し資金繰りがタイトになっている状況が見て取れるが、多田建設、大都工業となると有価証券報告書には少しもその兆候は現れていない。

このところの企業倒産の事例をいろいろ調べてみると、倒産の原因では販売不振が全体の52%を占めている。2位が放漫経営の18%である。そのほか目立つところでは、業界不振の5%や、売掛金回収難の4%がある。ただ倒産企業の多くが地価暴落前に大きな借り入れをして事業用地を取得しており、それが倒産の遠因になっている例が少なくない。

国土庁がこのほど発表した地価調査では、また地価の下落が進んで都市圏では7年連続の下落だと言う。このところ日本の土地を求めて外国資本の引き合いが多いらしい。さすがに、地価を下げろと言う大合唱は下火になってきたが、結果として、外国人の土地取得を容易にし、日本経済の閉塞状況を招いただけに終わった気がする。

倒産企業の事例の中に、杜撰な経理によって引き起こされた例があった。経理の人員が少なく、仕入れ割戻金の請求や仕入値引きの処理が放置されていたため過大な買掛金の支払いが何年にもわたって行われ、とうとう資金繰りに行き詰まったケースである。これなど、おおいに他山の石としなければならないと思う。