コラム

天邪鬼の言い分

1998年10月20日

 

「法学セミナー」という硬派の雑誌を読んでいたら、戸野本優子さんというルポライターの書いた「財政再建団体のすすめ」という記事が巻頭に掲載されていた。読んでみると、日本で唯一の財政再建団体という福岡県田川郡赤池町の様子が書かれている。炭坑の町の財政再建をとりあげた、とりたててどうということのない雑誌記事だが、気になったのは著者の名前である。この人は確か菅さんのアレじゃなかったっけ。同姓同名ならごめんなさいだが、アレだとするとなかなか筆の立ちそうな人で、菅さんのメディアなんとかをつとめていたというのも頷ける。前々から菅さんは秘密警察の長官風でイヤだなあと思っていたので、この人のおかげで人気にかげりが出て、ちょっとニンマリだ。

東京都もこのまま行くと財政再建団体に転落するというので、青島知事が緊急事態宣言をしたのが、ついこの間だった気がする。青島知事は何もしなかったと責める声があるが、何もしなかったおかげで傷口は大きく広がらなかった。誰もが余計なことをしたがるこんな時代に何もしないというのはたいへんな見識であり、勇気ある選択だったと思う。国は八方破れでいろいろやっているが、結果、国債残高が増えているだけだ。過ぎたるは及ばざるが如しという。明石のタコさんはじめ、次の候補者たちも青島さんを見習ってもらいたいと思うのは天邪鬼だろうか。

所沢ではテレビ報道が勇み足をした。すわっ、これからテレビたたきが始まるぞと期待したが、結局テレビが悪いのではなく産廃施設が悪いのだと、論点があっさりすりかえられてしまったのにはがっかりした。リー・クアンユーが書いていたが、シンガポールでは出過ぎたマスコミには販売規制をするという。しかし、発禁にはしないで、読みたい人は読めるようにしておく。さすがに、アジアの大政治家リー・クワンユーだと感心した。こういう政治家は、我が国には望むべくもない