コラム

ウサギの一生

家で飼っているウサギに思いのほか大きな腫瘍ができて手術を受けた。それで治るかどうかわからないとも、手術のショックで死んでしまうかもしれないとも、宣告されたというので、そんなかわいそうなことをするよりは安楽死させたらどうかと提案したが、なんて冷酷なと、家人の猛反対にあった。具体的に誰がどういう風にして安楽死させるの、あなたがするのと問われて答えが見つからなかった。

 

手術が終わって帰ってきたウサギを見ると、提案が受け入れられなくてよかったとホッとしつつも、大きな傷口とぐったりして以前の柔和な表情を失くしている姿には、一層かわいそうな感じが募る。ウサギの一生は、他のウサギとたいして変わり映えのしないもののように思えるが、ウサギにも魂のようなものがあって、それぞれのまっとうすべき一生というものがあるのだろうか。

 

1907年にアメリカのマクドゥーガル博士がある実験を行い、その結果が医学専門誌American Medicineに掲載されて話題となった。博士は、重症の患者6人の死亡前と死亡後の体重を測定した。すると、いずれも21グラムの体重差があった。博士は、瀕死のイヌ15匹で同じことをやってみた。体重差に全く変化は見られなかった。人間だけが、魂を持っていることが証明されたというので、博士はいちやく時の人となり、「魂=21グラム」説は俗説として広まったそうだ。

 

さて、魂のないイヌやウサギに引き比べて、マクドゥーガル博士のいう21グラムの魂を持っている人間はどうか。人間の一生も、大方はたいして変わり映えがしないといえば、変わり映えはしないのだが、人間の一生は、少なくとも一人一人の人間のために神様が用意してくれたものだ。

 

そして、もし、一人一人の一生に評点を付けるとすれば、人間の世界の評点と、神様の評点とは大きく異なるだろう。人間の世界は、人間の文化がすっかり刷り込まれているので、その価値観で採点されるが、神様はどの人のどの一生にも100点を付けると思う。