コラム

知性、含羞、ヤクザ性

2022年8月19日

 

「男の魅力は、知性、含羞、ヤクザ性にあると宗教学者の山折哲雄が言っていたが、うまいこと言うもんだと思ったよ」などと友人のKに言ってみた。すると、マシンガンのようにKの言葉が返ってきた。

 

「馬鹿言っちゃいけないよ。それは、モテない男の自己満足」。ほんとの男の魅力はね、そんなことじゃない。知性、含羞、ヤクザ性なんかじゃない。男の魅力はね、「チャラいこと」なんだよ。ほら、政治家を辞めた宮崎なんとかっていただろ。金子なんとかいう女の政治家と結婚したけど、浮気して政治家を辞めたやつ。あれだよ。あのチャラさ、軽さだよ。なんといっても、チャラいことが、男の魅力なんだよ。特に政治家は魅力的なやつが多い、つまり、チャラいやつが多いわけだ。

 

知ってるよね。高田純次。彼は、若い女性のファンが引きも切らない。あの年になっても「チャラさ」を絶やさないからなんだ。

 

じゃあ、「知性、含羞、ヤクザ性」は何かといえば、それは男ではなく、実は女の魅力なんだよ。考えてもごらん。「知性があって、含羞があって、ヤクザ性がある女性」。なんて魅力的だと思わないか。ほれぼれするだろう。でも3つ揃った女性はなかなか難しいね。シモーヌ・ヴェイユやボーヴォワールは知性と含羞はあるけど、ヤクザ性が欠如してるしね。ハンナ・アーレントは、かろうじて全部揃ってるかな。日本だと、うーん、湯川れい子が全部そろってるかな。瀬戸内寂聴はね、ちょっとした知性とたっぷりのヤクザ性はあったかもしれないけど、含羞が欠けてるんだよね。

 

そこへいくと、男は、へたに「知性、含羞、ヤクザ性」があるプーチンや習近平なんて、魅力どころか悪の権化とされて、すこぶる評判が悪い。反対に、知性も含羞もなく、ヤクザ性だけのバイデンやゼレンスキーの方が、魅力があると見えて、うんと受けがいい。

 

そうかなあ。そうだよ。それよりね。君は自分が思っているほど、モテなくないと思うよ。僕の目から見たら、君はかなり魅力的な男だよ。ほんとに。この間、カラオケで、あいみょん歌ってただろ。あれを見て僕は確信したね。「この男は、宮崎に負けてない」。これはね、君と違って、「知性、含羞、ヤクザ性」の塊の僕が言うんだから間違いない。もっと自分に自信を持て。君は充分チャラい。